平成29年度税制改正の概要(資産課税)

 今回は、「平成29年度税制改正大綱」のうち、「個人所得課税」「資産課税」「法人課税」「消費課税」「国際課税」といった個人や中小企業に対して影響を与えるものについてピックアップして、本日は「資産課税」を掲載します。


- 資産課税 -


非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(以下「事業承継税制」)の見直し

1.相続もしくは遺贈または贈与により非上場株式等を取得し、中小企業における経営の承継の円滑化に

  関する法律の認定を受けている、または認定を受けようとしている会社が以下のような災害等の被災

  者等となった場合、事業承継税制の認定要件などが免除、緩和されます。

  • 被害を受けた資産が総資産の30%以上
  • 被災した事業所で雇用されていた従業員数が従業員総数の20%以上
  • 一定の災害等の発生後6月間の売上高が前年同期間の売上高の70%以下

2.事業承継税制の雇用確保要件について、相続開始時または贈与時の常時使用従業員数に8割を乗じて

  計算した数に端数があるときは、これを切り捨てる(現行は切り上げる)こととなります。

 

3.相続時精算課税制度に係る贈与が事業承継税制の適用対象に加えられます。

 

4.非上場株式等の贈与者が死亡した場合の認定相続承継会社の要件について、中小企業者であることお

  よびその会社の株式等が非上場株式等に該当することとする要件が撤廃されます。 

 

 ■平成29年1月1日以後に相続もしくは遺贈または贈与により取得する財産に係る相続税または贈与税に

  ついて適用。所要の経過措置も講じられる


非居住者等に係る相続税または贈与税の納税義務の見直し

 国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する被相続人等に係る相続税の納税義務について、国外財産が課税対象外とされる要件が、被相続人等および相続人等が相続開始前10年(以前5年)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととなります。贈与税の納税義務についても同様です。

 

 ■平成29年4月1日以後に相続もしくは遺贈または贈与により取得する財産について適用


居住用超高層建築物に係る固定資産税等の課税の見直し

1.高さが60mを超える超高層建築物のうち複数の階に住戸が所在しているものについては、建築物全

  体に係る固定資産税(都市計画税含む)額を各区分所有者に按分する際に用いるその各区分所有者の

  専有部分の床面積を、住戸の所在する階層の差異による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映

  するための補正率により補正することとなります。

 

2.その階層別専有床面積補正率は、最近の取引価格の傾向を踏まえ、居住用超高層建築物の1階を10

  0とし、階が一を増すごとに、これに10/39(約0.256)を加えた数値とされました。(「1」,

  「2」ともに不動産取得税も同様です)

 

 ■平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物に適用(平成29年4月1日前に売買契約

  が締結された分を除く)


医業継続に係る税制の特例措置

  良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(以下「平成18年医療法等改正法」)の改正を前提に、次の措置が講じられます。

 

1.平成18年医療法等改正法に規定する移行計画の認定を受けた医療法人の持分を有する個人が、その

  持分全部または一部の放棄をしたことにより、その医療法人が移行計画に記載された移行期限までに

  持分の定めのない医療法人へ移行をした場合には、医療法人が放棄により受けた経済的利益について

  は、贈与税を課さないこととなりました。

 

2.ただし、上記の適用を受けた医療法人について、持分の定めのない医療法人へ移行をした日以後6年

  を経過する日までの間に移行計画の認定要件に該当しないこととなった場合、「1」の経済的利益に

  ついては、その医療法人を個人とみなして贈与税が課税されます。

 

3.医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限が3年延長されます。(以前の適用期限

  は平成29年9月30日)

 

 ■「3」平成32年9月30日までの認定案件に適用


直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の拡充

 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置における金融機関への領収書等の提出について、書面による提出に代えて電磁的方法により提供が可能となります。

 

 ■平成29年6月1日以後に提出する領収書等について適用


土地の所有者の移転登記等に係る登録免許税の特例措置の延長

 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限が2年延長されます。(以前の適用期限は平成29年3月31日)

 

 ■平成31年3月31日までの認定案件に適用


住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の特例措置の延長

 住宅用家屋の所有権の保存登記もしくは移転登記または住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限が3年延長されます。(以前の適用期限は平成29年3月31日)

 

 ■平成32年3月31日までの認定案件に適用


耐震改修等を行った住宅に係る固定資産税の特例措置の拡充

 耐震改修等を行った住宅に係る固定資産税の減額措置について、長期優良住宅の認定を受けて改修されたことを証する書類を添付して市町村に申告がされた場合には、改修工事が完了した翌年度分に限り、減額割合が次のとおり拡充されます。

  • 耐震改修を行った住宅・・・・・・3分の2(現行は2分の1)
  • 省エネ改修を行った住宅・・・・・3分の2(現行は3分の2)

相続税の物納優先順位の見直し

 相続税の物納に充てることができる財産の順位について、株式、社債および証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されいるもの等は国債および不動産等と同じ第一順位となり、投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているもの等も第一順位となります。


取引相場のない株式の評価の見直し

1.相続税評価における類似業種比準方式の見直しが行われます。

  • 類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均が加わります。
  • 類似業種の上場会社の配当金額、利益金額および簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとなります。
  • 配当金額。利益金額および簿価純資産価額の比重について、1:1:1(以前は1:3:1)となります。

2.評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社および中会社の適用範囲が総じて拡大されま

  す。

 

3.株式保有特定会社(保有する株式および出資の価額が総資産価額の50%以上を占める非上場会社を

  いう)の判定基準に新株予約権付社債が加わります。

 

 ■「1」、「2」平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産評価に適用、

  「3」平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産評価に適用


広大地の評価の見直し

 現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直されるとともに、適用要件が明確化されます。

 

 ■平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産評価に適用


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