Ⅱ 不動産に関する権利

-物権

■所有権
目的物について、法令の制限内において自由に使用し、収益を上げ、処分すること
ができる権利のこと(民法第206条)。
財産権の「物権」に該当し、土地や建物などの権利の中核をなすもの。登記簿に登記
することにより第三者への対抗力を持つ。
土地の所有権は、その地上と地下に及ぶ(民法第207条)。ただし、その範囲は無限
大に認められるわけではなく、通常の使用能力による使用方法の範囲に限られるも
のとされている。


■区分所有権
マンションなどに代表される「区分所有権」とは「建物の区分所有等に関する法律」に
基づく「一棟の建物のうち構造上区分された数個の部分で独立して使用できる建物
部分(専有部分)ならびにその専有部分に係る共用部分の持ち分及び敷地利用権」
を言い、「専有部分」と「共用部分」と「敷地権」の3者が合体している権利と考えて良
い。要件を満たしていれば、住居、事務所等の用途は問わない。
・専有部分・・・壁やドアなどで構造上も区分され、その部分を独立して使用できる部
分。通常、壁の内側とされ、ベランダ、ガラス戸、玄関ドアは共用部分
になる。対抗要件は登記簿への登記。
・共用部分・・・エントランス、エレベーター、廊下等専有部分以外の建物部分。また、
共用部分の使用権は専有部分に付随する。独立して登記はできない。
・敷地権・・・建物を所有するための敷地に関する権利。一棟の建物に付随した登記
がされる。
・共用部分および敷地権の共有持ち分・・・通常、一棟の建物全体の専有部分の面
積に比例して按分登記される。


■地上権
他人の土地において工作物または竹木を所有するため、その土地を使用する権利
のこと(民法第265条)。
財産権の「物権」の一つ。原則契約によって設定され、登記することにより、第三者へ
の対抗力を持つ。工作物とは、建物や道路、鉄道、送電線など地上および地下の一
切の建築物を意味しており、そのうち建物所有を目的とするものは、「借地権」として
借地借家法の保護を受ける。地上権はその権利者が地主の承諾を要することなく自
由に第三者に譲渡・転貸できる点で地主にとって不利益なため、土地利用契約は、
そのほとんどがこの「地上権」ではなく「賃借権」となっている。


■区分地上権
他人の土地の地下や空間の一部など利用の範囲を限定し工作物を所有するために
設定された地上権のこと(民法第269条の2)。
地上権は本来土地全体に及ぶものであるが、たとえば地下鉄や高架線、送電線など
を所有するため空間の一部のみを必要とする場合などに、その必要な空間の範囲に
限定して設定される。登記することにより対抗力を持つ。


■地役権
他人の土地(以下「承役地」という)を、自己の土地(以下「要役地」という)の便益の
ため利用する権利のこと(民法第280条)。
承役地上に目的を定め契約により設定され、登記が第三者への対抗要件となる。そ
の目的としては、通行するため、水を引くため、眺望を妨げないため、高圧線を引くた
めなどがある。なお、要役地の所有権が移転すると地役権も附随して移転する(民法
第281条)。


■底地(権)
底地とは、宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権をい
う。
土地に借地権が設定されるとその土地の権利は、借地人に帰属する「借地権」と、地
主に帰属する、その借地権が付着した不完全な所有権である「底地(権)」の2つに分
かれることになる。


■法定地上権
不動産の競売が行われた場合に、法律によって設定されたとみなされる、契約によら
ない例外的な地上権のこと。
同一所有者が所有する土地、またはその上にある建物のどちらかに抵当権が設定さ
れ、それが実行された場合には、建物はその存立根拠を失ってしまう。その場合、建
物のためにこの法定地上権が設定されたものとみなされる(民法第388条)。

 

 

Ⅱ不動産に関する権利

Ⅱ 不動産に関する権利

目次
Ⅱ債権

債権