住宅専用地に商業施設の建築を可能に


 ついに気象庁も、この猛暑を「命の危険がある暑さ。一つの災害と認識している」と昨日の異例の会見を行いました。

 皆さま、体調はいかがですか?8月上旬まではこの暑さが続くとのことですので、くれぐれもご自愛ください。

さて、7月22日の日本経済新聞の記事で、「国土交通省は主に住宅だけを建てられる地域に、新たに商業施設を設けられるように建築規制を緩和する」と発表されていました。

 

2019年夏から一定の条件を満たせばコンビニエンスストア(以下、「コンビニ」)などをつくれるようにするということ。

商業施設といっても我々に身近なコンビニの話です。

 

下表の「用途地域による建築物の用途制限の概要」を見ていただければわかるのですが、「第二種低層住居専用地域」以上の用途地域では、150㎡以下の日用物販店は建てられますので、「第一種低層住居専用地域(以下、「1低専」)」のことの話でしょうね。

用途地域による建築物の用途制限の概要

1低専は、「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」という性格があり、用途制限としては、「住宅、共同住宅、下宿、幼稚園、小・中・高等学校、公衆浴場、診療所、一定の兼用住宅、図書館、寺社、老人ホーム、巡査派出所、その他公益上必要な建築物等に限り建築可能」となっております。

 

他にも高さの制限や斜線制限などの制限がありますが、ここでは省略します。

 

つまりは、高くても3階建で周りも同様の住宅ばかりなので、一番住居に適している地域と言っても良いかもしれません。

 

ただ、当たり前ですが駅に近いのは「商業地域」や「近隣商業地域」の方です。

 

ちょうど、住宅分譲が始まったころは子育て真っ最中で、分譲地の近くに新設校もでき、同じ年代の方も多く住まわれ、駅まで徒歩で行っても車で送ってもらっても苦ではなかったと思います。

しかし、子どもも巣立っていき、自身も歳をとってきたら、駅前商店街は以前の活気がなくなっており、空き家も徐々に増え、大型店はすべて郊外というパターンが多いのではないでしょうか。

 

今回の規制緩和の目的は、上記のように高齢化が進んで小売店が撤退したような地域では徒歩で通えるコンビニなどのニーズが強いからです。

 

コンビニは1970年代に初めて登場して以降、いまや日用物販だけではなく、銀行のATM、公共料金の収納代行、宅配便の受付、住民票の写しの発行などのサービスまでおこない、我々の生活に占める役割は非常に大きくなっています。

皆さんもお世話になっているはずです。

 

急速な高齢化の進展に伴い深刻化する買い物弱者の問題に対してもコンビニの一定の役割が期待されているということなのでしょう。

 

今後、国土交通省は2019年夏に定める政省令で規制を緩和し、地域の用途ごとに新設を認める施設と、騒音や振動対策などの条件を定めます。合致した施設は、都道府県や市区町村で有識者が審査や許可をする「建築審査会」の同意がなくとも建てられるようにするということです。

※建築基準法に基づき建築許可が必要な建築物に対する可否や同意、不服申し立てなどの審査請求に対する議決、建築基準

 法の施行に関する調査審議や建議(意見)を行う機関です

 手続きに数ヶ月かかる場合が多く、積極的に利用しづらい

具体的には、低層地域の戸建て住宅の地域ではコンビニや飲食店などの小規模な施設を、また、「第一種住居地域」でも自動車修理工場(今でも小規模はOK)などを想定しているようです。

いずれも防音壁の設置や営業時間の制限などを条件とします。

 

実際に都市部でも小売店が撤退した地域では、高齢者を中心に買い物に困る人が増えており、‘13年度~’15年度に1低専で用途外の建物を建築審査会が許可した事例を見ると、店舗・飲食店が38件で最多だったみたいです。

 

これから「コンパクトなまちづくり」の実現のため、立地適正化計画の策定だけではなく、随時、見直しもおこなっていき、高齢者も含め住みやすい街づくりを目指していきたいものです。

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