一般的に交通事故などによる損害賠償請求権や、取得時効や相続による所有権の取得などは、事実行為から権利を発生させます。このような場合を除くと、債権債務(権利及び義務)は「法律行為」によって発生するとされています。
また、法律行為のなかでも、「売ります」と「買います」というお互いに対立する関係にある意思表示が合致することで「契約」は成立します。これは「口頭」でも構いません。
契約は「お互いの信頼関係の上に成り立つものである」という考えも事実ではありますが、しかし、取引の相手方を信用するのではなく、契約内容を遵守していただくために、書面で取り決めをすることが必要である時代になってきているのも事実です。
当然のことですが、当方の債権(権利)だけではなく、債務(義務)を発生させるのも契約です。よって、その認識を双方がもって権利と義務を履行するために書面にする必要があるのです。
また、お互いに「言った」「言っていない」という紛争を防ぐ狙いもあります。
※契約書は相手方に負わせる義務だけでなく、当方が負う義務を明確にするものでもあります!
我々日本人は、当事者間の「協調」を重んじたり、「和をもって貴し」という感覚があります。その考えは、日本人の美徳であり、今後も大切にしていかないといけない事だと思います。しかし、昨今の取引社会ではビジネスライクに白黒をはっきりさせるやり方が当然となっており、それが契約当事者双方のリスクマネジメントの基本でもあります。
※但し、法律の規定を逸脱した契約は法律の規定が優先されます。
最近の契約書は条項数も多くなり、理解するのも一苦労です。ただし、取引をするのに、誰しもトラブルの発生を望みません。円満に相互の発展を図れるようにと考えるはずです。しかしながら、すべての取引が常に順調にいくとは限りません。やむを得ない事情が生じて当初の約束を履行できない場合も出てきます。このような事態に備えて、あらかじめ解決の指針を定めておくことで無用な争いを回避することもできます。双方で取り決めた契約書である以上、感情的なしこりを残さないこともできるかもしれません。
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