· 

相続登記の促進に対策法?


相続

 最近、政府内で問題視されているのが相続未登記の土地や家屋です。これって何が問題?と思われる方もいらっしゃると思われますが、もしかしたら登記を怠ったために、ある日突然、登記しなさいと連絡があり、そのまま放置しておいたため多大な費用が発生するかもしれないということです。要は、政府としては相続登記の義務化を早急に検討するため、今までみたいに相続登記をしないでほったらかしにできなくなるということです。政府は本年1月22日から始まる予定の通常国会に対策法を提出する予定で、相続登記の促進が柱の一つであります。

なぜ政府は急いでいるのか!

 その理由は明確です。現在、所有者がわからない土地(つまりは相続登記が済んでいない)は九州全土より広く410万ヘクタールと言われております。2040年には北海道の面積の約9割の720万ヘクタールまで達すると想定されております。じゃ、このまま放置していればどうなるか。。。想像がつきますね。九州+北海道+四国+α。いずれは日本全土?まっ、そんな事にならないように対策法を提出するわけですが。余談ですが耕作放棄地も同じです。もう既に滋賀県の面積と同程度がほったらかしの土地となっております。しかも農地法という法律の縛りがあるため、農地からの転用に制限があり耕作者は高齢で農作業ができない、おまけに跡継ぎもいない、それなのに農地から宅地や雑種地に転用できないという問題です。勿論、食料自給率の問題からも軽々しく転用を認めていたら農地がなくなっていくのは理解できます。が、高齢者で跡継ぎがいないという方の土地はある程度の転用を認めても良いと思うのですが。太陽光発電業者に貸すにしても農地転用が認められないという話は多々聞きますし、実際に相談に来られた方と農業委員会にも行って協議もしたこともあります。すいません、話が少しズレました。

相続登記をしない理由は?

 それではなぜ相続登記をしない人がいるのでしょうか?理由は相続登記には義務がないことや申請の期限もないことです。要は面倒だとか登記の変更をしないことによっての弊害を知らないといったことだと思われます。ただ、ほったらかして相続登記をしないままだと、売買や賃貸に支障をきたします。確かに相続登記は手続が煩雑なこと、また司法書士に頼めばそこそこの報酬を支払う必要があり、登録免許税もかかってきます。また土地保有税として固定資産税や都市計画税(※都市計画税は市街化区域)を毎年支払わなくてはなりません。固都税に関しては、市町村役場が相続登記をしていなくても相続人が判明していれば請求書は相続人に到達しますが。

 ただ、相続登記のほったらかしはいずれ自分自身や自分の夫・妻・子・孫に不利益をもたらします。例えば下図の太郎さんが亡くなった時を考えてください。財産を相続する人は下記としましょう。

相関図

 太郎さん(父)が亡くなった時の相続人は、母(太郎さんの妻)、一郎さん(太郎さんの長男)、三郎(太郎さんの二男)さんとなります。この時点で相続人は3名です。しかし、次に一郎さんが母よりも先に亡くなったとしましょう。そうすると、一郎さんの妻、花子さん、次郎さん、花江さんの4人が一郎さんの相続人となります。また、三郎さんも母よりも先に亡くなったときは、三郎さんの妻、良子さん、四朗さん、良江さんの4人が三郎さんの相続人です。それでは相続登記をしていない太郎さんの土地の相続人と言えば、母、一郎さんの妻、花子さん、次郎さん、花江さん、三郎さんの妻、良子さん、四朗さん、良江さんの9名(共有)です。これ、ほったらかしといたらどうなります?そう、ネズミ算のように増えていき、相続人の特定でも膨大な時間と費用がかかってしまいますし、連絡がとれない人も出てきます。だから早めに処理しておく事が重要なのです。


ボタン-back

目次に戻る